2回目のフジロック-2(2019) 音と人とcureと

エビングハウス忘却曲線によればThe Cureを観てから既に2日がたった今において、相当数の伝えたかったことがもう記憶の彼方に過ぎ去ってしまっているのだという。
残り滓を絞りに絞って書き連ねたい。

○音楽
3日目
Stella Donnelly(→Hiatus Kaiyote→HYOKOH→VAUDOU GAME→CHON→JASON MRAZ)→The Cure

括弧書き内は半分眠りながら観たか、通りがてら観たか、人に会いがてら観たかでフルでまともに観たのはStella DonellyとThe Cureの実質2組だけ。この日は食べることと人に会うこととThe Cureと観ることとThe Cureを観ることに力を注いだんだ。

まずは幼少時代の写真を背景に登場したStella Donnelly。横にいた友人曰く「あれは自分がかわいいことをわかってやってるやつや」。みんな子供のときは可愛かったんやから仕方ない。男性はBoys will be boysだし、女性だってGirls will be girlsで変に汚なくならずに、小さい時に大切にしていた、できていた自分を大切にしていきたい。していけてるかな?
アコギの引き語りから始まったセットリストの個人的なハイライトは初期のベルセバ風味の"Season's Greetings"に"Tricks"。あとは謎のダンスが入る"Die"とやっぱり"Boys Will Be Boys"。音楽のすごいところって言葉はわかりきらなくても楽しいことは楽しいし、哀しいことは哀しいって伝えられることだとおもう。

新種のポケモンNai Palm率いるHiatus Kaiyoteの頃には昨日の豪雨とは裏腹に日照りが厳しく、グリーンの後ろの方でまどろんでいた。事前に予習してたアルバムで聴いたのとは違うどうやら新しい曲ばっかりだったようだけど楽しかった。あのときのわずかなうたた寝で見た夢こそもう忘れてしまったけどとても気持ちよかった。

HYOKOHは格好良かったし、VAUDOU GAMEでTHANK YOU NATUREして、CHONは流れるように過ぎ去り、JASON MRAZは素敵なセットアップの装いだった(褒めてるところが音楽じゃない)。

そしてThe Cure。昨晩のDeath Cab For Cutieの前の友人と嵐の中で過ごした待ち時間の方よりも長かったはずなのだけど、良い天候と万全のコンディションであっという間に始まった。
壮大で幽玄なPlainsongから幕開けて、流れるようにPictures of YouからのHigh。WishはThe Cureに入った最初のアルバムだったので、3曲目にして感極まり。
続く生のA Night Like Thisは音源で聴く以上に重厚感に満ちていて格好良い。。みんなでI want to change it allや。でそこから畳み掛けるようにくるLovesongが本当にずるかったんだよ。最近仕事が忙しくて逢えていない大切なあの人に逢いたい気持ちだけが募って悲しかった。歌詞自体は純粋なラブソングなのに曲調があれなのですごく切なく聴こえるLovesong。
Disintegrationの曲順通りにこの後はLast Danceに、続いて勉強不足でグラスト'19の動画で初めて聴いたBurn(B面の勉強が足りていない)。そして、Disintegrationで実は一番好きなFascination Street。2分近いイントロにゴリゴリのベースで我らがRobert Smith様が闊歩される姿にはもうひれ伏すしかない。もう2時間でも3時間演奏してもらおうともきっと満たされないNever EnoughからのPush!疾走感と高揚感を伴ったままInbetween Daysがきたところが2回目の最高潮。あんなにクソみたいに情けない歌詞なのに、あの最強のイントロがきたら何にでも勝てる気がするので、なんか闘いの1日には朝かけて出発する大好きな曲だ。アルバムで聴くより、どんなライブ映像で観るよりも流麗で美しいキーボードがたまらなんだ。けど浮気ダメ絶対。
この後数曲はもう記憶がとんでて、ふと我に戻ったときにはDisintegrationで”チャチャン、チャチャン”って鳴ってた。でもまた召された。"統合"とは対極の"崩壊"をあらわすDisintegrationなのに召されるとは何事だろうか。
アンコールは7曲だかやってくれてこれも駆け抜けていった。Friday, I'm in Loveは紛れもなく日曜の晩の最高の瞬間だった。Why Can't I Be Youで踊り狂ってたらあっという間にBoy's Don't Cryで終わってしまった。終わってしまった。24曲しかやってないのに。

夕方にお逢いできたフジの師匠には「残念やけど、グリーンのCureはガラガラになると思うわ」と言われていた。蓋を開けてみたらというか結構前の方に居たので、どれくらいの観客がそこにいたのは後ろが見えないのでわからなかった。蓋を開けられなかったけど、Robertはすごく嬉しそうだったし、公演後のインタビューでも「ここ15年の3回の日本ライブで今晩がベスト」とも語っていたのが全てを物語っていると思う。
「来年アルバムをリリースしたら、京都と大阪と東京にツアーで回りたい」。ぜひ回って欲しい。京都にそんな大きな箱はないけど、太陽が丘でもロームシアターでも京都御所も、ちょっと羽根を伸ばして滋賀で琵琶湖を埋め立ててやってくれても良い。The Cureが好きなわけでもない烏合の衆を盛り上げるために考え尽くしてくれたセットリストじゃなくて、今度はThe Cureを好きな変人たちのためのひねくれたセットリストを展開して欲しい。

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ロバスミ御大


今日はここまで。