2回目のフジロック3(2019) 音楽の外側

○科学技術
テクノロジーの最先端領域というと、どうしてもお金の集まる軍事や航空宇宙、医療関連になり、我々一般人の触れられる領域から少し離れたところになってしまう。そんな中、エンターテインメントの分野は自動車と並んで数少ない最先端の科学技術に触れられる領域だと思う。 ※酔いながら書いており、異論しか認めません。

今回密かに期待していたのはSoftBank主催の5Gプレサービス体験である。
すでにお隣韓国や米国ではサービスが始まっていて、実は驚くほど速くない、広くない対応エとかの恩恵に対して、端末価格と通信料が高いという不平不満が出ている。
ウェアラブルVR、IoT、4K放送などの名前は聞いたことあるけど、昭和の新旧3種の神器とかと比べて圧倒的に存在感の足りない2010年代の最新科学技術最終章がいかがなものかと心待ちにしていた。

フジロックに参戦したのは2日目と3日目だったので、体験するなら当然ながらどちらかとなる。しかし、2日目は熱帯低気圧の接近に伴い、午後は終始きつい雨が降り続けていたので断念。3日目に体験を試みた。ブースのあるオアシスステージに到着したのは午後11時頃。すでに人だかりができていてとてもじゃないけど体験できそうにはない。一旦後にして、午後3時すぎの人もまばらになってきた頃に体験した。

技術的な詳細は日経XTECHやEngadgetの記事を参考にしてもらうとして、会場で5Gを体験できたコンテンツは2つ。1つはアプリを通じて、会場内各ステージの混雑状況を撮影した映像を5G回線で送信し、リアルタイムで把握できたりするというもの。もう1点は苗場と六本木に設けられたブースでOculus社製Oculus GOというVRヘッドセットを被り、VR空間内でステージを模したスクリーンに映されたライブ映像を楽しみながら、同時にログインしている周囲のアバターとハイタッチできたりできるというもの。微妙。

超高速の通信速度をうりにした低遅延と同時接続性が売りの5Gのコンテンツとしてはそれを最大限に体感できるアプリでは少なくともない。既に去年からフジロックの配信はyoutubeで行われているし、自宅で光回線を利用して音楽体験をするなら通信速度自体に光通信と5Gでは大差がない。結局ヘッドセットに備わったスピーカーから出される音でライブを体験するという点ではリアルに勝てるはずもなく、他のオーディエンスと体感する一体感や臨場感、音圧、もみくちゃになる触感もセンサーやアクチュエータ類の発展がまだまだなのでリアリティには欠ける。技術はすごいんやろうけど、何がすごいんかわからないの一例のように感じた。

でも僕自身は本当は汗をかきたくなければ、雨で濡れたり汚れたりもしたくない。もっと進化して音質もリアリティも増していけば、、、な未来もそう遠くないし、年をとって寝たきりになってもライブを楽しめる時代がやってくる。そういう未来の訪れをわずかばかり感じてきた。そんな5Gプレサービス体験だった。

 

○人

前回の初参戦のときは、twitterやリアルで繋がりのあった友人たちと逢えることが楽しみで楽しみで仕方なかった。ただし、それによって観たかった音楽や食べたかったご飯を蔑ろにして、フェス自体のコンテンツを楽しみ損ねていたところがあったのは否めない。今回はおまけに2日目の天候に恵まれなかったこともあり、逢いたかった人に挨拶することをかなり断念し、フェスを楽しむことに重きをおいてみた。

年々マナーは悪くなっていて、椅子やゴミなどのマナーの問題で世界一クリーンだったフェスティバルからは遠ざかっているという声もよく聞く。そんな中でも逢えた数少ない友人・知人、知らない人だけど忘れられない出会いがいくつかあった。

まずは入場時。現金支払いの手間を省くためにほとんどを交通系Felica(関西在住なのでICOCAです)で済まそうとしていた。カードケースに入れて管理とかではなく、ズボンのファスナー付きポケットの中にスマホと一緒にいれていた。容易に想像できる通りだが、ゲート手前でスマホを取り出した際に一緒にこぼれ落ちた。本来ならここで早々に私のフジロックは終りを告げるはずだったのだけど、そこに音楽の女神一般枠の方が現れた。
「これ落とされませんでしたか??」とすぐさま声をかけて届けてくださったおかげで、その後の丸々2日間となんならそれ以降の生活で差し障りなく過ごすことができた。もはや顔もバンTもどんなだったか思い出せないけど、あの方がいたおかげで今の元気な私がいる。

2つ目はオアシスステージの飲み物ブース。到着前から一緒に行った関東の友人から「ICOCAなんて対応してないよ。使ってる人もみたことないもん」という愛のある煽りを受けながら、ビールを注文。支払いをICOCAでお願いしたところ、「ICOCAってどこのですか??」との返事。早速のフラグ回収ありがとうございます。
2店目でも「ICOCAで」とお願いすると「SUICAですね」の回答。心の折れた私はその後、「支払いは交通系で」とお願いするようになったとさ。

あとは今までにも別のライブで会ったり、twitter上でやりとりしていた方々。
特にフジデビューしたら乾杯しよなってデビュー前から言ってくださっていたかれこれ5年以上付き合いのある師匠とはフィールド・オブ・ヘヴンで再会できてThank you nature。もう一人の師匠とは逢えずじまいで終わるかと思いきや、帰りしの越後湯沢駅でギリギリお会いできて本当に良かった。
ほかにも好きなバンドのオフ会で知り合った大阪のフォロワーさんにもThe Cureの終演後にギリギリ挨拶できたし、同じ県内に住んでいてやりとりしてきたけど、ずっと逢えずにいた結婚したてのフォロワーさんにも逢えて良かった。
本当に数少ない音楽の話が通じる高校時代の友人にも学生時代ぶりに逢って語り合えることもできてよかった。
よかったしか言ってないけど、一昨年の初参戦でも一緒に臨んだ仲間たちともまた苗場の地を踏みしめることができて良かった。なんならあのときは悪天候で乗れなかったドラゴンドラにも乗れたし、もってきてくれたシャボン玉のおかげで令和の空也上人になれたり、キッズたちとたわむれることができた。1人とは土砂降りの雨の中でもレジャーシートを腰の上に巻いて互いを鼓舞しながら最後のDeath Cab For Cutieをみることができた。もう1人とは会場内では目当てが違ってあまり時間を過ごせなかったけど、帰りの新幹線で音楽と人生についてゆっくり話すことができた。本当に本当にありがとう。
残念ながらタイミングが悪くて挨拶できなかった方もいらっしゃるけど、別の機会にまたお話しできるとありがたいです。

 

とまあ瞬く間にかけぬけていった 2日間と少々だった。ある時期に体感する時間の長さは年齢に反比例するというジャネーの法則がある。確かに一昨年感じた時間に比べて、そもそもの参加日数が2/3なこともあってなおさら短く感じた。あと3ヶ月足らずで20代が終りを告げることで、これからもっともっと体感する時間は短くなっていくんだと思う。でも、だからこそ今聴ける音楽を、今逢える人を大切にして1日1日を過ごしたい。

公私ともに色々とごたついてきており、前回のように「みなさんまた来年苗場で」とははっきりと申し上げられない。でもみなさんまたどこかで。願わくば苗場で。

2回目のフジロック-2(2019) 音と人とcureと

エビングハウス忘却曲線によればThe Cureを観てから既に2日がたった今において、相当数の伝えたかったことがもう記憶の彼方に過ぎ去ってしまっているのだという。
残り滓を絞りに絞って書き連ねたい。

○音楽
3日目
Stella Donnelly(→Hiatus Kaiyote→HYOKOH→VAUDOU GAME→CHON→JASON MRAZ)→The Cure

括弧書き内は半分眠りながら観たか、通りがてら観たか、人に会いがてら観たかでフルでまともに観たのはStella DonellyとThe Cureの実質2組だけ。この日は食べることと人に会うこととThe Cureと観ることとThe Cureを観ることに力を注いだんだ。

まずは幼少時代の写真を背景に登場したStella Donnelly。横にいた友人曰く「あれは自分がかわいいことをわかってやってるやつや」。みんな子供のときは可愛かったんやから仕方ない。男性はBoys will be boysだし、女性だってGirls will be girlsで変に汚なくならずに、小さい時に大切にしていた、できていた自分を大切にしていきたい。していけてるかな?
アコギの引き語りから始まったセットリストの個人的なハイライトは初期のベルセバ風味の"Season's Greetings"に"Tricks"。あとは謎のダンスが入る"Die"とやっぱり"Boys Will Be Boys"。音楽のすごいところって言葉はわかりきらなくても楽しいことは楽しいし、哀しいことは哀しいって伝えられることだとおもう。

新種のポケモンNai Palm率いるHiatus Kaiyoteの頃には昨日の豪雨とは裏腹に日照りが厳しく、グリーンの後ろの方でまどろんでいた。事前に予習してたアルバムで聴いたのとは違うどうやら新しい曲ばっかりだったようだけど楽しかった。あのときのわずかなうたた寝で見た夢こそもう忘れてしまったけどとても気持ちよかった。

HYOKOHは格好良かったし、VAUDOU GAMEでTHANK YOU NATUREして、CHONは流れるように過ぎ去り、JASON MRAZは素敵なセットアップの装いだった(褒めてるところが音楽じゃない)。

そしてThe Cure。昨晩のDeath Cab For Cutieの前の友人と嵐の中で過ごした待ち時間の方よりも長かったはずなのだけど、良い天候と万全のコンディションであっという間に始まった。
壮大で幽玄なPlainsongから幕開けて、流れるようにPictures of YouからのHigh。WishはThe Cureに入った最初のアルバムだったので、3曲目にして感極まり。
続く生のA Night Like Thisは音源で聴く以上に重厚感に満ちていて格好良い。。みんなでI want to change it allや。でそこから畳み掛けるようにくるLovesongが本当にずるかったんだよ。最近仕事が忙しくて逢えていない大切なあの人に逢いたい気持ちだけが募って悲しかった。歌詞自体は純粋なラブソングなのに曲調があれなのですごく切なく聴こえるLovesong。
Disintegrationの曲順通りにこの後はLast Danceに、続いて勉強不足でグラスト'19の動画で初めて聴いたBurn(B面の勉強が足りていない)。そして、Disintegrationで実は一番好きなFascination Street。2分近いイントロにゴリゴリのベースで我らがRobert Smith様が闊歩される姿にはもうひれ伏すしかない。もう2時間でも3時間演奏してもらおうともきっと満たされないNever EnoughからのPush!疾走感と高揚感を伴ったままInbetween Daysがきたところが2回目の最高潮。あんなにクソみたいに情けない歌詞なのに、あの最強のイントロがきたら何にでも勝てる気がするので、なんか闘いの1日には朝かけて出発する大好きな曲だ。アルバムで聴くより、どんなライブ映像で観るよりも流麗で美しいキーボードがたまらなんだ。けど浮気ダメ絶対。
この後数曲はもう記憶がとんでて、ふと我に戻ったときにはDisintegrationで”チャチャン、チャチャン”って鳴ってた。でもまた召された。"統合"とは対極の"崩壊"をあらわすDisintegrationなのに召されるとは何事だろうか。
アンコールは7曲だかやってくれてこれも駆け抜けていった。Friday, I'm in Loveは紛れもなく日曜の晩の最高の瞬間だった。Why Can't I Be Youで踊り狂ってたらあっという間にBoy's Don't Cryで終わってしまった。終わってしまった。24曲しかやってないのに。

夕方にお逢いできたフジの師匠には「残念やけど、グリーンのCureはガラガラになると思うわ」と言われていた。蓋を開けてみたらというか結構前の方に居たので、どれくらいの観客がそこにいたのは後ろが見えないのでわからなかった。蓋を開けられなかったけど、Robertはすごく嬉しそうだったし、公演後のインタビューでも「ここ15年の3回の日本ライブで今晩がベスト」とも語っていたのが全てを物語っていると思う。
「来年アルバムをリリースしたら、京都と大阪と東京にツアーで回りたい」。ぜひ回って欲しい。京都にそんな大きな箱はないけど、太陽が丘でもロームシアターでも京都御所も、ちょっと羽根を伸ばして滋賀で琵琶湖を埋め立ててやってくれても良い。The Cureが好きなわけでもない烏合の衆を盛り上げるために考え尽くしてくれたセットリストじゃなくて、今度はThe Cureを好きな変人たちのためのひねくれたセットリストを展開して欲しい。

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ロバスミ御大


今日はここまで。

2回目のフジロック-1(2019)

2年ぶりに苗場に帰ってきた。
今回の目当てはDeath Cab For CutieThe Cureの2組で、2日目と3日目に参戦。

荷物を持ち込みすぎて帰り道に後悔した前回からの反省でコンパクトにして臨んだけれども、足りなさすぎて一緒に参加した友人に多大な迷惑をかけてしまった。この辺のバランス感覚が圧倒的に欠如してると思う。

会場のあちこちが水没して、ボードウォークにも滝が発生するくらいの歴史的な水難に見舞われた今回のフジロック。2日しか参加していない分、(不完全燃焼感は否めないけど)体力は比較的ゆとりがある状態で帰って来られたので、勢いがあるうちに記録に残しておこうと思う。

文章を書く習慣が年々減り、トータルで全体をまとめられるほどの構成力がないので各項目別に。


○音楽

2日目 

キセル→Unknown Mortal Orchestra→Shohei Takagi Parallela Botanika→Courtney Barnett(→Asian Kung-Fu Generation)→Alvvays→American Football→Death Cab For Cutie

午前中はドラゴンドラに乗りこみ天上で過ごしていたので、ステージで聴き始めたのは午後から。邦楽勢で聴いたのは2日間を通じてカクバリズム勢のキセルとShohei Takagi Parallela Botanika(ceroの高城氏のソロプロジェクト)だけで洋楽ばかり聴いてた。この括りに意味がないことはわかっている。

キセルはさくらぐみのピザの列に並びながら聞き耳をたてる。カクバリのアーティストは夏が、特に夏休みが似合う音を奏でる方が多い。もう戻れない小学生ぐらいの夏の記憶が蘇ってきた。

Unknown Mortal Orchestraは会場で聴かなきゃいけないんだ!って気持ちにずっと苛まれていたのに、当日まで結局1曲も聴いたことがなかった。それで今Spotifyで聴くと「こんなにLo-Fiな音だったっけ?」って逆に面食らってる。Deerhunterをライブで観てから音源を初めて聴いたときも似たような印象を抱いていて、サイケバンドの1つの楽しみ方というか、フェスでの新しい音楽の出会いにはいつだって感謝しかない。

雨脚はさらに強まり、アヴァロンにて椅子にこしかけて休みがてらShohei Takagi Parallela Botanikaを鑑賞。フジロック直前にタイムテーブルを組んでるときにShohei Takagiってどっかで聞いたことある名前だなあ...あっ!で観るのを決定。毎年のようにceroのライブは観ているけど、去年のPOLY LIFE MULTI SOULツアー以来ご無沙汰。このソロプロは音源も見当たらなかったので怖いもの見たさで臨んだ。客席はほぼ埋まってたし、やっぱりみんなceroが、高城さんが好きなんだと思う。メンバーはDr.の光永さん以外知らない人ばかりだったけど、調べるとSOUL & PIMP SESSIONSやかたおもいに参加している只者じゃない方ばかりのよう。
音楽的にはceroからブラックミュージックを引き、アコーディオンジブリ感を演出した昭和の歌謡チックな感じだった(意味不明)。録音中の音源も楽しみ。ただ、読み方はその日の床に就くまで全然覚えられなかった。実際に文字で入力してみるまで字面が頭に入って来ず、「ショーへイタカギタナカラボタニカ」とかようわからんかった。

Courtney Barnettは音源の気怠さとは対照的にグランジでロケンローで格好良かったし、移動中に眺めたグリーンのアジカンではちょうど君の街までを聴けてそれだけで満足。以上。

Alvvaysの頃になると雨脚もすでに最高潮。一度体験した酷い雨の中にこの後戻っていくことを考えると、到底デスキャブまで生き抜ける気がしなくて何度も宿の布団の中でyoutubeの配信動画を眺めている世界線が頭によぎっていた。
話を戻す。Alvvaysの演奏は音源のドリームポップ、シューゲイザー成分にさらにパワフルさのエッセンスが加わってて最高にかっこよかった。気持ちよかった。大好きなIn Undertowのイントロが流れてくると感極まって涙がでてきた。「There's no turning back」と言われてしまうとね。もう後戻りはできない。デスキャブを見るそのときまでは。
ボーカルの子の誕生日だったみたいで、「52歳よ。ベンジャミン・バトンみたいなの」って言ってたのをうまく聞き取れず、謎に(デスキャブのベンジャミンって52歳なのか?)って脳内で誤変換してた。もっと英語の勉強した方が良い。(原因は昨年末の

www.vice.com

の記事でTFCのNorman BlakeとDCFCのBenjamin Gibbardが声を揃えて""最近はAlvvaysがイイ!!""ってべた褒めしてたせいもある。)

レッドマーキーでの平和な屋根の下の時間を終えて、ホワイトステージのAmerican Footballへ。曲と曲名を一致できるほど聴き込んでいるわけではないけど、仲の良かった服屋の店員さんが一番好きなアーティストにアメフトを挙げられえていてずっと気になってた。演奏が始まっても弱まらずに降りしきる雨と音と感情と、全部ごっちゃになってあの場にいた人はみんな溶けてたと思う。

2日目の最後はSIAは断念し、そのままホワイトステージに残ってDeath Cab For Cutie(つづりあってる?)。「ここまできたらデスキャブを見るまでは決して帰らぬ」と、共に臨んだ友人とビニールシートで雨をしのぎながら今までの人生で一番長い1時間弱を嵐の中でそのときを待った。本当に始まるまでが長かったし、今までの仕事で辛かったことってお可愛いことやなって思えてくるくらい酷い惨めな時間だった。あれを一人で耐えた方々は本当にすごい。友人がいなきゃ私はダメだった。
始まってからはもう嵐の中の祝祭。正直セトリは既に予習済みで何の曲を演るか把握してたけど、わかっていても素晴らしいものは素晴らしい。雨で濡れた寒さを吹き飛ばすのもあってこれでもかってくらい体を揺らして聴いた。最高に気持ちよかった。雨の待ち時間も含めて2日目のベストアクトはデスキャブだった。

 

疲れたのでまずはここまで。

はじめてのFUJI ROCK'17 3

最終日。
今日は心機一転、ドライバーと私の大好きなYUKIちゃんの10周年のベスト盤。
前半は大人しめの楽曲が続きますが、盛り上がりを見せる後半に入る前に苗場に到着。

この日も予報は一応雨だったと思うけど、雲間から青空が見えていました。
このままいけば、ドラゴンドラ!だったんだけども、願いはかなわず到着に合わせて小雨が降り始めてきました。

本日のお品書き
予定:
Ron Sexsmith → Real Estate → トクマルシューゴLOVE PSYCHEDELICOSLOWDIVEYUKI → BONOBO → LORDE → ASGEIR → THUNDERCAT

結果:
Ron Sexsmith → Real Estate → トクマルシューゴSLOWDIVEYUKI → BONOBO → ASGEIR → THUNDERCAT → MAJOR LAZER

幸いにして天候には恵まれ、小雨はぱらついても不快感を伴わない過ごしやすい1日だった。
とはいえ、さすがに3日目に突入するともう疲労困憊。
あまり移動の伴わないか、ステージでの休憩もかなり増えてきた。

Ron Sexsmith
3人での乾杯のあと、後方で腰かけてのんびりと観戦。
古き良き日の70s後半くらいまでのロックンロールを感じた。
もう少しゆっくり観ていたかったけど、この日前半の本命とトイレに備えてホワイトステージにそそくさと移動。

Real Estate
3人で最初に会ったイベントに登場したのもこのバンドだったなあとしみじみと感じながら、前の方で鑑賞。
本当は最前列の中央まで到達していたけれど、身長が足りないために目の前の黒い筐体に阻まれてステージが見られないので少し下がって全体を俯瞰するスタイルに変更。
アレックスがただの印度の方にしか見えなかったり、マーティンのインテリ白人感が半端なかったりどうでもいいことを考えながら、白昼夢を見ているようなまどろんだ音楽に合わせて気持ちよく揺れていた。

トクマルシューゴ
ご本人のMCによると前日に8時間以上かけて苗場山の山頂まで登ってこられたという。
山頂の小屋のオーナーさんだったかの「なんで新潟なのにフジなんだ」って感じの言葉(1週間経って既に忘れ気味)をおっしゃっていたけど、下山して職場の方にも同じことを問われた。
一昨年のボロフェスタ以来のトクマルさんだったけど、相変わらずの自由で多幸感あふれる演奏だった。

ちなみにsuedeのライブで知り合った大阪の先輩とはここでようやくご挨拶できて、5年越しくらいの「いつか苗場で会おう」との約束を果たすことができた。
残念ながらお互いに水分補給したてでお腹がぽちゃぽちゃだったために乾杯まではできなかったけど、それはそれで来年行くための口実ができたと思えば、結果オーライということで。。。

SLOWDIVE
この日の大本命というかこれを観にフジに来た。
シューゲイザーというジャンルの音楽でMy Bloody Valentine派という方とRide派という方は多くいらっしゃると思うけど、私はいやいやSlowdive派。
なのにライブを見たことあるのは前者2つ(しかも単独)で、前回の再結成直後の来日は入社したてで交代勤務をしていたために見損ねてしまい、今回は何としても観たかった。
聴き始めたのは大学の学部四年の卒論真っ只中の時期。珍しく雪が積もり始めて夜遅く一人実験室に残ってた日のAlisonが忘れられず、本当にこの旅はAlisonのアウトロの残響に切り裂かれて死ぬために来たようなもんだ。
新譜のオープニングトラックSlomoから始まり、早々にcatch the bleezeやavalynといった初期曲も交えて。
幽玄さと耽美さを兼ね備えた圧倒的な浮遊感に、時折周りの人が立ったまま意識を瞬間的に失ってよろけ倒れかかってきたりするも(自分もそんな状態なので不快感はなく)、そんな時間にあの場にいた誰しもが陶酔しながら満を持してのSouvlaki Space StationとそれからのWhen The Sun Hits。
この10分間のために私は生きてきたんだと、自然と涙があふれてきた。
そこからのいよいよ、いよいよあの曲ですかと期待に胸を膨らませて流れてきたのはミニマルなPygmalionからのCrazy for You。
そっちかって、ちょっと面食らってよろけながら、アルバムとはまた違うサイケさににんやり。
結局、お目当てのあの曲は演奏されないまま、定番のシドバレットのカバーでライブは締めくくり。

あとで出回ってきたセットリストにはAlisonに取消線が引かれて、右側にCRAZYと書かれていた。
でもだからといって、なんで!なんでAlisonやってくれなかったのさ!!!って怒りも悲しみも不思議と一切なく、あの瞬間に立ち会えたこと、Slowdiveをようやく観られたことにただただ感謝して、レッドマーキーでの最後のひと時を迎えました。

YUKI
7月土曜の大阪城ホールのチケットに当選していながら入金し忘れていたために観られなかったYUKIちゃん。
Slowdiveを見終えたころには始まっていたので途中からの観戦。
セトリも確認してないけど多分フェス仕様のグレイテスト・ヒッツな選曲。
一番観たかったワンダーラインだけフルでちゃんと観て、「生きてる意味なんて考えてる暇ないのさ、take me to the holiday。あそぶtoday today today!!」と、着々と向かいつつあるこの3日間の終わりを噛み締めながらホワイトステージに向かった。

Bonobo
実はこれまで一度もちゃんと聴いてなかった。
ただ、twitterのフォロワーさんたちの間では異常に前評判が良くて、何だかよくわからないけど観ておかないといけないアーティストだと思ってた。
中々の混雑具合で、なんとか前日の晩に音声だけで楽しむ羽目になった白いテントの横まで辿り着き、ことの顛末を眺めていた。

この素晴らしさを表現できるだけの語彙を持ち合わせていないのが残念だけど、ただただ観て良かったし、できれば来年頭の単独公演も観たいと思う。

Asgeir
入社前のHOSTESS CLUB WEEKENDERで観たのが最初だったか。
単独も申し込んでたけど体調不良で見逃してしまい、なんだかんだで3年半ぶりのAsgeir。
bonoboとは一転して、2ndは何回かリピートしたのに一切頭に入ってこなくて全然心に残ってなかったので、実は当初はほとんど期待してなかった。
ただ、bonobo後でほとんど体力も残されていなかったので食事休憩に移動することもできず、留まった先で1年近くぶりに再会できた業を背負ったようなアカウント名のフォロワーさんのAsgeirへの熱い想いを聞いて、このときやっと観ようと思い立った。

まあ結果観て良かったし、この日はベース音が特に胸に突き刺さってくる力強い演奏で、やっぱり今度の単独観たいなって思った。この日の私はチョロ過ぎる。

THUNDER CAT
当初の予定では、彼こそがこの日の自分の中のエンディングアクト。
音源でも自由さが極まっていた彼だけど、ライブではさらに大暴走。
もはや踊る余力も残されていなくて、ただただ茫然と座って見てたけど、素晴らしい演奏だった。

MAJOR RAZER
いや、実は見るつもりは一切なかった。
EPは聴いてたけど、見たら絶対体力を失って息絶えそうな激しめの音楽(EDMというの?)だったし。
ただ、一緒にTHUNDER CATを観てた友人がこれは30分だけは観て踊って帰りたいと強く言ったので、ここまで来たら死なば諸共みたいな感じで渋々ながら観戦。

しかし始まると謎のムービーにメンバーの前で踊る4人のダンスキレキレ姉ちゃんズ。
「てをあげろ!」「とべ!」「めいじゃーって言ったらレイザーて言え!」
って簡単な煽りに原初的なビートにあわせてただただはしゃいだ。心行くままに残りの体力ではしゃいだ。

観るならこの曲は聴きたいと思ってた曲が終わったところで、「さすがにもう帰ろう」と申し訳なさとともに友人に打診し、パーリーピーポー溢れるホワイトステージを後にしました。
全ステージ一時入場を規制していますーとか訳の分からないアナウンスを聞きながら、とぼとぼと重たい足をひきずりながら苗場のスキー場に別れを告げた次第です。

あれやこれや散文を書き連ねて、これをどう総括すればいいのかわからないので、最後に少しだけ。

遠いし、山でしんどいし、高いしとあれこれ言い訳を並べて頑なに参加しようとしなかった去年までの自分へ。
「少しでも行きたい!やりたい!と思ったことはまずはやってみよう。あとはいくらでも面白おかしく楽しめる。」

あの場所でお会いできた皆様へ。
「新参者で何もわからなかった私に色々なご助言や音楽への愛の言葉をありがとうございました。また乾杯しましょう」

連れ出してくれた友人たちへ。
「ありがとう。本当にありがとう。来年も、また来年も絶対に行こう」

天国はどこにあるの?って問われたら、3・4日間限定だけど、文月の終わりに国境の長いトンネルを抜けた先にあるよって答えたい。

みなさん、また来年に苗場で。

はじめてのFUJI ROCK'17 2

2日目。
本日も苗場入りのBGMはNew Order
前日の疲労も相まって、少々不穏な滑り出し。

「3人でドラゴンドラに乗れたらいいねえ」と、本番を迎える前に何度も口にしていたにも関わらず、この日も雨。
しかも終日雨のよう。

この日のタイムテーブルは、

予定:
The fin. → DAY WAVE → WESTERN CARAVAN → Cocconever young beachTHE AVALANCHES → THE LEMON TWIGS → COURNELIUS → 小沢健二LCD SOUNDSYSTEM

結果:
The fin. → DAY WAVE → (Cocco) → (THE AVALANCHES) → (THE LEMON TWIGS) → COURNELIUS → 小沢健二LCD SOUNDSYSTEM

初日よりは比較的、予定に沿った結果となった。
かっこ書きしているのは、疲労のあまりグリーンの後方で椅子に座って項垂れながら聴いてたためにほとんど意識がなかったのと、ご飯休憩でオアシスで音漏れを聴いていたためだ。

以下、個別に感想。

The fin.The fin.を知ったのは修論も提出間近の頃だったと思う。
南堀江の某レコ屋さんが猛プッシュしてて、Glowing Red On The Shoreって清涼感と高揚感たっぷりの楽曲にやられた。
その後、何枚か出て、ライブもあったけどタイミングが合わずに3年が過ぎて、初めてのライブ。
しかし、各自行動に入る前の最初の乾杯のビールで、序盤から尿意がクライマックスに達して退散。
いや、でもGlowing~だけは!と慌てて戻ったところで最後のこの曲に間に合った。
それだけで幸せだった2日目の一発目。

DAY WAVE
フォロワーさんたちの間で結構評判で、事前にspotifyで何周か聴いていたものの、フジ前は音楽から心が離れていたこともあって全然響かなかった。
けれど、何かしら感じるものがあって、気がついたら開演前には最前近くまで行ってしまっていた。
開演からはただただ気持ちよく揺れていた。

何曲か演奏していて、キャップを被りSTARWARS Tシャツを着た青年がおもむろに「This is (the?) cover」 と言って、誰かの曲の演奏を始めた。
まさかだった。昨日と今日と、朝に車中で流れていたNew OrderのCeremony。
それがこんなところで演奏されるなんて。。。

突然の音楽の神様のいたずらに感極まり、その後は一心不乱に身体を揺らしていた。
3日間で最も気持ちよかった瞬間の一つ。

結果、バテた。

DAYWAVEが終わると、春先に乾杯した2日目のみ参加の大阪の師匠と再会して、何年か越しのフジでの初乾杯。
1つ1つ、自分の目標が達成していくのは本当に気持ち良い。。
仕事もこんなにとんとん拍子で、、

師匠とは別れ、乾杯の反動でまたもやトイレへ。
強まる雨脚と併せて、先ほどまでの幸福感とは裏腹に心身ともに谷底に真っ逆さまに落ちていった。
気がつくと、グリーンの後ろの方で椅子に腰かけてた。

Cocco
悪夢。
いや、Cocco姐さんは一切悪くないよ?
むしろ虚ろ虚ろとしてた合間に聴く歌はどれも力強くて、格好良くて。
けれど、その合間に見ていた夢はひどく居心地の悪いものだった。内容ははっきりとは覚えていない。
Coccoさんを前に観たのは前年のオトダマの同じく雨の最中。しかも体力の限界で同じく椅子に座って項垂れていたところまで同じだった。

THE AVALANCHES
状況は変わらないけど、こちらでは楽しい夢を見ていた。
少し意識を取り戻すと、なんかあんちゃんと姉ちゃんが楽しそうに歌って踊ってた。

CORNELIUS
ここからは2日目の本番。
単独のチケットに当選していたのに入金を忘れていきそびれるCORNELIUS
新譜のMellow Wavesがドツボだっただけに、これは何としても見逃せないと、New Orderを流した友人と並んで身体を揺らしながら目に焼き付けていた。

思ったよりも新譜からだけじゃなくてPointやSensuousの楽曲もやりつつ、40分が経過したところで離脱。

本当は最後まで見るつもりだったけど、それよりも見なきゃいけないようなものがある気がして、2人でホワイトステージへと向かう。
道はこんなに人いたっけというくらい隙間なく埋め尽くされ、歩行速度はどんどん落ちていく。
最終的には後ろの人に押されることで何とか前に進んでいるだけで、自発的な歩行は一切していないような状態に。

ようやくたどり着いた先はホワイトステージ中央の白いテント真後ろ。
それでも開演までに辿り着いただけマシだったのかもしれない。

どこかで聴いたことのある有名な歌が聞こえ始めて、スクリーンにはいつもなら演者が映されるのにそのときは歌詞が流れ始めた。

小沢健二
リアルタイムに青春を過ごせなかったのが悔しいくらいに、在りし日を共に過ごした世代の方々にとっては祝祭のような多幸感溢れるライブだった。
35も過ぎたような先輩方が、口ずさみながら後ろから子供のように満面の笑みを浮かべて前方へと走り去っていく。

羨ましさしかなかった。
オザケンがお茶の間の人気者だったときはまだ小さかったけれど、それでも流れるのはどこかで聴いたことのある歌ばかりで時間が瞬く間に過ぎていった。


本日残るは1アクト。
LCD SOUNDSYSTEM
今回のフジの主目的の1つ。
これを観に、踊り狂って死ぬためにここに来たバンド。
FIELD OF HEAVENのくるりも満員御礼で入場規制がかかっており、我々はもう踊るしかない。

「こんばんは。JAMESです」「Sorry, my Japanese is terrible..」
なんて日本人が下手な英語の照れ隠しをするような言い訳のMCをかましながら、淡々と演奏が進められていく。

繰り返されるリフ。脳から送られるさすがにもうSTOP信号とは裏腹に激しさを増していく身体の揺れ。
もう操り人形のように踊り狂ってた。

1時間が過ぎようかとしたところで始まったのは「Yeah」。
踊りに合わせて、「いぇーいぇー、いぇいぇいぇーー!!!」と自然とシャウトも混じっていく。

出しつくした。疲れ果てた。
もちろん実際はこの後も新曲とヒット曲を織り交ぜての後半戦もあったのだけど、それより先に限界が来た。
開演前から疲れ果てたら遠慮なく帰ろうと相談していたので、重たい足をひきずりながら宿へと戻っていった。

不思議なことに途中で撤退したのにも関わらず、後悔は一切なかった。大満足だった。

はじめてのふじろっく2

ようやく初日

一緒に泊まり、会場へと向かう友人2人とは現地の宿で集合。
片方は家から車で、もう片方は早朝発の新幹線で。
キャリーを引きずりながら坂道を上っていると、別の坂から上がってきた友人の姿が見えた。
車で来たもう1人はその1時間前には宿に着いていた。

フロントにそそくさと荷物を預けて、一同は車で苗場へ。
BGMは何故かNew Order
NOどころかフッキーも出ないのにNew Order
けど、なんか闘いというか戦地に赴く我々にとっての応援歌のようで個人的には心地よかった。
この時点ではただそれだけの思いしかなかった。

舗装もない、苗プリから少し離れた駐車場に到着。
ここで私の装備について触れておこう。

azershi0525 LV.27
E この店で一番大きい帽子をと言って買った青いハット
E エンジのゴアテックスのマウンパ
E NIKEの撥水性のかけらもないジョガーパンツ(替えはない)
E ど偏平足の私の足にもぴったりな日本人向けのゴアテックスのトレッキングシューズ
E ウォータープルーフバックパック etc...
(椅子は前日、弟に近所のホームセンターで買ってもらったBBQのときとかに使うようなちゃっちい折り畳み椅子)

個人的には荷物が少々過剰な点は否めないが、だからこそこれで苗場での3日間には勝った気でいた。
甘かった。

そう。言及し損ねていたけれど、あとの2人は入場のリストバンドは発送で既に入手済みだった。
そんなリストバンドが発送してもらえるシステムなんて、フォロワーさんたちの7月上旬の「届いたあ」ツイートを見るまでは全く知らなかった。
2人いわく3年前から来た男こと私はまずリストバンド交換の列に整列しました。

みんな予めリストバンドを発送してもらった方ばかりだったようで、すんなりと交換は完了。
待っててくれた2人と合流して今度は物販の列へ。
こっからが長い。陽が出ていて暑いし、列は前に進む気配はないし。
ある程度本日の各人のタイムテーブルも語り尽くしたところで、並び始めて1時間半くらいでようやく物販コーナー直前のラインまでたどり着いた。

あと1人!ってところで、ゴリラズTシャツのサイズ合わせを始めたアジア人カップルに阻まれて少しのお預け。
いや、ここまでどれだけ待ったと思ってるんですか、そんな丈合わせの時間くらい些細なものですよと既になんちゃって悟りを開きつつある私には刹那の出来事でした。

the xxのサコッシュゴリラズタオルを買って、集まり昼御飯と乾杯。
看板の前で記念撮影を済ませ、リストバンドのICをかざしてようやくゲートをくぐったのでした。

はじめてのふじろっく1

まだまだ準備編。
そうは言っても支度は遅々として進まない。

thexx、Catfish and The Bottlemen、LCD Soundsystemと絶対に観たい!ってアーティストは次々に出演発表されていくけれど、全然予習をする気配がない。
(異動先の仕事で一杯一杯で、聴いても全然入ってこなかったってこともある)

ただ、これまた何の因果か春先に音楽友達というか、師匠2人にお会いする機会に恵まれた。
1人は何度もsuedeのライブでお会いしている方に京都メトロであったFinal Fantasyのライブにて。
もう1人はその方を通じて、入社前にphoenixのライブで1度だけお会いし、twitterでずっとやり取りだけさせていただいてた方。
何度も何度も飲みましょーと話はしていたものの中々実現せずに、このタイミングでようやく乾杯を実現できた。

お2人からもフジでの準備やら色んな話を聞かせていただいて、ようやく気持ちが高まってきた。

そのくらいから少しずつ準備をし始めたが、6月、7月と開演日が近づいてきてさすがに焦りが生じ始める。
準備をしなきゃいけない気持ちと裏腹に7月は連日のように出張続きで西へ東へ飛び回っていた。

東京出張が2日続いたそれぞれの晩に、関東に住むフジロックに参戦予定の友人と飲めた。
2人とも遠くに住んでいるから頻繁に会える訳ではないけど、だからこそ、
「また来週フジで」
って言えたのがたまらなく嬉しかった。

それでも絶対に必要と思われるモノは結局揃えきれないままに出発の前夜を迎えた。

さすがに時間指定しても受け取れないと実家に受け取り指定していたamazonでポチったフジ備品を回収しに、2時間かけて夜10時過ぎに帰宅。
すぐさまUターンして最寄り駅に辿り着くと、電光掲示板にはまさかの「運転見合わせ」の文字が。
twitter検索をかけると、架線トラブルで激しく火花が飛んで今晩中の復旧の見通しは立たないとのことだった。

慌てて実家に駆け戻り、クズな私は弟に「家まで車で送ってくれ」と夜も11時過ぎに懇願しました。
前の晩に「お兄様、プライム会員様。どうか後払いするのでドラクエ11amazonでポチってくださらないか」との願いに応えたことに恩義を感じてくれたからか、はたまた、ただただ弟が良い子過ぎるからか、文句も何一つ言わずに送ってくれた。
家に着いて荷造りしていると、やっぱり私はクズだったので、実家にゴアテックスのマウンテンパーカーを置いてきたことに気づいてしまった。
(さすがに夜も遅いので泊って行ってくれと泊めたら、「ちょっとこの部屋換気してる?ハウスダストやばい」って言って翌日体調崩したのはまた別の話)

そして、出発当日。
たぶん前日晩の復旧もまだ完全じゃないから電車遅れてるだろうしと、キャリーバッグを引きずりながら全力で京都行の電車に駆け込む。
実家でマウンパを回収し、冷や汁かけごはんを流し込んだ。
そんでもって京都駅にタクシーで直行し、睡眠薬のビールと柿の葉寿司を買って新幹線に乗り込む。
東京駅に着くと、乗換まで50分も待ち時間があったために、ラーメンストリートで夕食のハットトリックを決めてしまった。

こうして人生初めての埼玉、群馬を通過し、4月に会ったアニモー師匠に言われた「国境の長いトンネルを超えたらね、マジで感動するから」って言葉を思い出しながら、越後湯沢に抜ける国境の長いトンネルに突入する。
さすがに周りが暗すぎてトンネルを抜けた前後の景色の変化は視覚的には感じられなかったけれど、あの瞬間の漆黒の風景は二度と忘れたくない。

満身創痍の身体を引きずりながら、シャトルバスで一足先に苗場へと向かうフジロッカーを後目に越後湯沢の宿に辿り着いたのが0:10。
開演11時間前のこと。