suede live @台北國際會議中心

本編。

開演前のSEは最近お約束のラフマニノフではなく、久しぶりに聞いた気がするSex Pistols
メディアのカメラマンもそれぞれ階段に陣取っていって、「そうかこの方々が堰をとめてみんな自分の席で観るのが台湾式か」と思った。
さあいよいよメンバー登場かと思いきや、上から雪崩降りてくるお客さん、お客さん。
開演1分もしないうちに指定席とはなんぞや状態。
へっ?とアホみたいな気の抜けた声が出そうになりつつ、負けじと降りようとするも、こちらの列の方は誰も降りようとしない。
むしろ席に腰掛けて優雅にsuedeを眺めてらっしゃる。そうかこれが台湾の大人のsuedeの嗜み方なのかと半ば諦めつつ、セットリストはWhen You Are Youngから開幕。
大海に向かってクルージングしていくようなこの壮大な楽曲は、ライブではより一層ダイナミックで、2年ぶりに観るsuedeライブの先行きを安心させるよう圧倒的な仕上がりだった。
続くOutsidersもリチャードのギターかっこええわ、最早それしか言えんわの仕上がりでもうスタートアップとしては完璧、もう今日のsuede大成功でーすと言わんばかりのサウンドが繰り広げられてた。ここまでは。

3曲目はNight ThoughtsなセットリストになるならNo Tomorrowに入るのだが、残念ながら
She。
ポスターからアルバムジャケじゃなくてメンバー写真だし、Night Thoughtsの触れ込みはなかったので予想通りの展開である。
Coming Upは後半パートが凄く大好きな3rdアルバムなのだけど、シングルカットされまくった前半の特にSheとFilmstarはお馴染みすぎて正直聴き飽きていた。ともあれフェスなんかでは安心安定定番のShe。それがなんだかおかしい。
音が足りない。あっ!ギターの音が鳴ってない!!
マジかーと苦笑いのギタリスト Richard Oakes。おい!ちゃんと仕事せえや?どうかしたんか?とチラ見するボーカル Brett Anderson。淡々とリズムを刻み、シンセを奏でるメンバーでお送りする今宵のSheはギターレスversion。
それでも成り立っている演奏が逆説的に曲、そしてバンドの完成度の高さを表していて、あらためてsuede凄いと思い直した。

さぁさぁ気を取り直して…行けません!まだアンプ直りません!すんません!とスタッフ。
仕方なくアコースティックギターに取り替え、続きましては最近だと割とセトリの後半で披露されるはずのまさかの序盤からShe's In Fashion。
久しぶりの大好きな生SIFで気分は上々だけども、ブレさん客を煽ってしきりに手拍子を促す。なんかこれじゃないShe's In Fashionが続いていくも、まだアンプは直らない。

じゃあ次は何が来るんだと思ったら今度はLiving Dead。しかも、ギターも鳴り止んでこれはDog Man Starを彷彿とさせるアカペラバージョン!!
嬉しい反面、今日はそいつの日じゃないぞと感じつつ曲は進み、さあクライマックス!ってところでウォーンとアンプのノイズが高らかに復旧の狼煙を上げ、これには一同失笑。
しかし、これにて一度は幻のアコースティックナイトになりかけた本日のセットリストは元の軌道に戻っていく。

再度気を取り直して繰り出される曲はTrash。
もうこれは燻ってた心を発散させるしかない!ここまで実はちゃんと着席して座ってたけど、ほんとはみんな踊りたいんやろ!シンギンしたいんやろ!行こう!!…って先に立ち上がった前のお姉さん、後ろのおっさんに「前見えへんねん!座って!(意訳)」と怒られてる。
思わず立ち上がった私にもおっさんから怒りの視線を投げかけられてる。
そして、周りは誰も立ってない。踊りたい、踊れない、一筋の汗もかかない人生初Trashだった。
もちろん、階下でウェーイってなってるフロアのみなさんはいつも通りのTrashを繰り広げているわけで、まるで3DホログラムのTrashをVRで見せられているようなそんな奇妙なひと時だった。

それからはいつものように、Animal NitrateとFilmstarが流れて、新譜からはI Can't Give Her What She Wantsが来たかと思えば次がBy The Seaやって座ってたのにずっこけそうになった。

It Starts and Ends with Youは再始動したsuedeには相応しいアンセムだし、Sabotageはライブだとリチャのギターが映えまくりで最高だってことを再確認しつつ、あとはいつものお約束So YoungからのMetal Micky。
そしてなんだか久しぶりに聞いた気がするCan't Get Enoughは立って聴けないこともあってより一層Can't Get Enoughだった。
流麗なお約束のsuede演歌 Everything Will Flowが披露されてから最後はみんなで歌って踊れやのBeautiful Ones!!
ここにきて、ようやっと立てた。おっさんは立ってなかったけど、ブレさんが立てといったし、おっさんは怒らない。
みんなシンギンするし、踊る。これぞ万国共通のtraditional suede style。
ようやくいつもの時間が流れ出したような気がした。

しかし、残念ながら本編は終了。
台湾のアンコールはなんて発音しるのかよく聞こえなかったけど、日本と同じように手拍子して、掛け声かけてたら数分たってメンバー再登場。
ここで、Picnic By The MotorwayからのChemistry Between UsからのSaturday Nightくるかー??それともNew Generationくるかー思いきや、Saturday Night。
あっさり一曲だけのSaturday Night。
でもほんとに大好きな曲だったから久しぶりに聴けて良かったと、90分弱のことが一挙に思い出されて少しウルッとした。

なんか奇妙なライブだったけど、メンバーを見届けたところで隣のキムが一言。
「Dissappointing setlist. ha ha ha ^ ^」

うん。そうだね。
それからキムとお姉さんに別れを告げて、足早にホテルに帰った。

全体を通して思ったことを以下、書き連ねてみる。

・ブレさんの喉が加齢による劣化が悲しい。By The Seaは歌詞読み上げモードに入ってたし、オーディエンスにシンギンさせる割合が年々増してる。

・ステージ傍のオーディエンスに対してのファンサービスが露骨。悪いとは言わないし、言えないけど彼らもスマホで写真を撮るだけ終始しててなんだか本末転倒な気がする。

・マイク回しと腰のクネクネのsexyさとキレは年々増してる。恐ろしいほどに。

なんだかんだで2年ぶりのsuedeは相変わらずの最高のライブバンドだったし、今回も圧倒的なパフォーマンスだった。
Can't Get EnoughだけでThe 1975も倒せると思う。正直なところ。

それだけに、トリじゃない、持ち時間は90分じゃなくて60分、おまけにRadioheadとタイムテーブル被っている、と何この三重苦のsummer sonicは本当に残念でしかたない。
だからこそ今日のこの不完全燃焼は短い60分のセットリストで、晴らしたいと思う。

でもって赤坂BlitzでNight Thoughtsをご覧になる方は素晴らしいこと間違いないので、しかと目に焼き付けて、私みたいな参加できないファンにやーいやーいと自慢して欲しい。