はじめてのふじろっく0

読者不在の本ブログにおいて初めて日本でのライブの日記。
さすがに27年生きてきて、これ以上日本国内で魂を揺さぶられるような経験って仕事以外にはないだろうなって思ってた。
だけど、本当に心から笑って、泣いて、思う存分揺れたこの3日間のことをどうしても忘れたくないので日記にまとめる。
人に見られるのは気恥ずかしいけれど、第三者視点を意識して書かないと後で意味不明な文章になるような気がしたので。

〇準備編
年初。
正直その時点では、今年こそ絶対に何としてフジロックに行くんだ!!という確固たる決意は一切なかった。
非常に申し上げにくいことに、色んな方に「いつかはフジで乾杯したいですね!」って口では言いつつも、特に今年の年初は個人的な事情で塞ぎこんでた。
どうせ今年も苗場の地に足を踏み入れることなく、青い鳥の向こうの誰かの呟きを眺めてふーんって終わるんだろうなと。

話は変わる。
5年くらい前からtwitterでやり取りしてて、音楽の趣味と年齢が近いこともあり仲良くしてた2人のフォロワーさんとフジの話になった。
3人で会えたのは何年か前のベルセバが出てたHCWのとき1回こっきりだけど、また3人で会えたらいいよね。
それがフジだったもっといいよねってやり取りをしてたように思う(LINEを見返していないので美化している可能性は否めない)。
2人には申し訳ないことに、この時点では(フジ?ないないwいや遠いやん、だってww)っていう気持ちが一杯で、3人でもだけど、自分がフジに行く姿を微塵も思い描けてなかった。

だけど、トントン拍子で話は進む。
「宿はどうする?」「とりあえず苗プリ申し込む」「抑えでこっちもとっとく」「何日間?」「2日パターンと3日パターンでこのプランは?」
自分のそのときの気持ちとは裏腹に足場は固められていく。

その矢先に異動が決まった。
新しい部署の上司との事前面談。
「これで面談終えようと思うけど、最後に何か言い残したことある?」
って、なんか処刑前の辞世の句を求められているような感じだけど、意を決して答えてみた。

「今年はフジロックに行こうと思います。」
「行ったらいいんちゃう?」

呆気ない回答。上司自身も自分の趣味のために数日休みをとるつもりで、そのためにちゃんと仕事の調整をするのであれば問題ないと。
仰る通りですね...

何はともあれ、これを皮切りにフジロックに向けた蝸牛よりも遅い足取りでの準備が始まった。

はじめてのFUJI ROCK'17 1

ノローグに思いのほか時間がかかりました。

結論からまとめると、FUJI ROCK '17 1日目の私のタイムテーブルは

予定:
DATS or yogee new waves → 昼御飯2 → ORGE YOU ASSHOLE → サニーデイ・サービス → RADWIMPS → FATHER JOHN MISTY → THE XX → SAMPHA → スカート

結果:
原始神母 → ORGE YOU ASSHOLE → THE BACK HORN → RADWIMPS → THE XX → GORILLLAZ

でした。
こんなはずじゃなかった。。。実は通しで観たのは最後の2組だけなんて口が裂けても言えない。
ステージ間の距離も、移動にかかる時間も、己の体力のなさも、完全に侮っていた。。。



以下、懺悔。

DATSもヨギーも観るには既に暑さで気力を失っていた私は、とにかくオーガだけは観ようと思い、ホワイトにとどまった2人に別れを告げ、まずは散歩がてら1人、FIELD OF HEAVENに向かいました。

辿り着いたGypsy AvalonこそHEAVENだとなぜか勘違いし、10分ほど経ってちゃうやんと気がつく。
そこからタイムテーブルを見直すと、「おお木道亭でHOMECOMINGSと平賀のさっちゃん演るやん」と2日目のタイムテーブルを間違えて開いてしまいました。
とりあえずホワイトに戻ろうと既に完全に迷子になっていた私は逆のHEAVENの方に向かい、結果オーライで結局当初の目的地に到着。

そこでやっていたのは、(何周しても申し訳ないことに良さのわからない)ピンクフロイドのカバーをしている原始神母。
もう暑さにやられて何も見てないのに疲労困憊の私は、椅子を広げて崩れ落ちました。
あれです。燃え尽きた明日のジョーの矢吹丈みたいな。

そんな絶望的な状況でも、やっぱりせっかく来たからには聴かなきゃと力を振り絞って耳をすませると、めちゃめちゃ恰好よかったんです。これが。
もう聴き始めて4秒でフジロッカーズハイ。ほんとに恰好よかった。

それからオーガ待ちの間に、秋からレコードの通信販売を始められる猫なのか虎なのかよくわからないフォロワーさんと、その方のお知り合いの皆様にご挨拶を済ませ、いざオーガ。

音源を予習のときに聴くまでは名前しか知らず、聴かず嫌いをしていたバンドなのだけど、一聴してドハマりしてすごく楽しみにしていました。初日前半の個人的にはメインバンドでした。
そして開演。不穏だけど心地よいサイケサウンドと出戸さんの声に合わせて強まっていく雨。

「おおー!!これぞ雨のフジロック!!伝説のライブにお決まりのあれや!あれ!」

と一人テンション高まっていたのも束の間。
早々にHP 0。ベテランの皆様にとってはめぐみのアーメンもヘタレな私にはただの滝行で、あたりはFIELD OF HEAVENのはずがFIELD OF HELL。

ステージを縦横無尽に横切る川と水溜まりと囲まれたことで、入口付近までの下山を決意しました。
道中、ホワイトでバクホンをチラ見し、心を無にしての下山。戦略性0の撤退。

その後は雨脚は落ち着いてきたところで、去年のwolf aliceでお会いして以来のフォロワーさんや、前週に東京で飲んだ友人と再会して元気を取り戻しながら迎えた満を持しての前々前座(正しくはGORILLAZの前前座)ことRADWIMPS
正直、君の名はで歌聴いたときはますますバンプの藤原さんとの声の違いがわからなくなってて、あまり興味はなかったのだけどやっぱり恰好良いよね。ボキャ貧なのでそれしか言ってませんね。

「じゃあ前半は大人しい曲が多かったけど、後半盛り上がっていきます!」
とぅるるるっとぅとぅとぅとぅとぅるる〜♪
的なMCとイントロをバックに今年もう何度目かのトイレに向かいます。

サマソニのような暑すぎるフェスのときはいくら飲んでも問題なかったビールですが、雨で体温を奪われているこのフジロックにおいてはただただ利尿作用が促進されてしまいます。
全滅するまでひたすら効かない相手にザキを唱えまくるファミコンドラクエ4のクリフトのように、ビール!ビール!と乾杯しまくった私の初日はトイレロスタイムが非常に多かった。。。

そんなことはさておき、THE XXの前に腹ごしらえと場所はホワイトとグリーンの間のところてんというフードスペース?。
煮干しラーメンを片手に一服していると、今まで聴いた中で一番綺麗な発音で後方から「By the way!」との声。
思わず、バイザウェイ?と独り言を漏らして振り向くと、山梨からお越しの野生のフジロッカーこと白鳥さん(仮)に「綺麗な発音だったよねえ」と声をかけられた。
こう書いている通り(?)、もちろん白鳥さん(仮)とは初対面。
ただ、懇切丁寧にフジロックの楽しみ方や思い出について語りかけてくださって、音楽を通じた人との出会いって素晴らしいなと感じたひと時でした。
また会えるかどうかはわかりませんが、白鳥さん。ありがとうございました。

白鳥さんとは別れを告げて、いざTHE XX。
このフジ最初のグリーンステージでちょっと前の方に勇気を出して進んでみる。
本当は裏のCatfishも観たかったけれど、もう新譜のI See Youが好きすぎて好きすぎて仕方なかったのでそっちは諦めて全部見ることにしました。

でTHE XX。
DangerousからI Dare Youが個人的なハイライト1つ目。
ライブのときのOn Holdのアレンジは既に他のフェス動画で観たから知っていたけれど、知っていても、いや知っているからこそ泣けた。
連日の移動と疲労でまだここが苗場だって実感はこのときまだ持ててなかったけれど、それでもこの場で音楽を愛する数多の知らない方々とこの場を共有できるのがただただ嬉しかった。
グリーンの音の良さも相まって、(こういう表現はTHE XXの音を表すのに相応しくないかもしれないけれど、)退廃的な泣きのメロディと煽情的なベースが自分にとっての滅びの美学みたいなものを体現していてすごく突き刺さって、久しぶりに「あっ、生きてて良かった」って心から思えた。
感極まると、けれどけれどを繰り返してしまうのは私の文体の特徴かもしれない。

もう今日はこれでいいや。。
と、裏でRhyeを観ているはずの一緒に来た友人達をGollirazを観ながら待とうとグリーンの道の脇でスマホをいじっていた。そんなときでした。

後ろから包み込まれる感触とすぐさま込み上げてくる恐怖を感じたのは。
振り向くと外人さん、の「ん?」っていうクエスチョンマークの浮かんだお顔。
いや、確かに私は小柄で日本人男性の身長偏差値38ですけどさ、絶対お前間違えたやろ、お前おいって見つめると、
「ハッ、ハグダケデース〜」
と言ってそそくさと去って行ってしまった。

「HAHA! Have a nice fuji rock!」って返したのは咄嗟の強がりだったけれど、ほんま怖かった。
あいつが無差別フリーハグ主義者なのか、フェス便乗痴漢魔なのかは最早知る術はないけれど、そこまでのLove & Peaceな世界にまだ浸れていなかった自分に少し嫌気がさしました。

あとは昼にお会いした方と再会し、グリーンの後ろの斜面で椅子を広げ、花火大会を見てる気分でGorillazのエンターテイメントを眺めていました。

ようやく1日目が終わりを告げる訳ですが、ここから2日目、3日目と指数関数的に時間の経過速度が増していくことになるとはこのときの私はまだ知りませんでした。

suede live @台北國際會議中心

本編。

開演前のSEは最近お約束のラフマニノフではなく、久しぶりに聞いた気がするSex Pistols
メディアのカメラマンもそれぞれ階段に陣取っていって、「そうかこの方々が堰をとめてみんな自分の席で観るのが台湾式か」と思った。
さあいよいよメンバー登場かと思いきや、上から雪崩降りてくるお客さん、お客さん。
開演1分もしないうちに指定席とはなんぞや状態。
へっ?とアホみたいな気の抜けた声が出そうになりつつ、負けじと降りようとするも、こちらの列の方は誰も降りようとしない。
むしろ席に腰掛けて優雅にsuedeを眺めてらっしゃる。そうかこれが台湾の大人のsuedeの嗜み方なのかと半ば諦めつつ、セットリストはWhen You Are Youngから開幕。
大海に向かってクルージングしていくようなこの壮大な楽曲は、ライブではより一層ダイナミックで、2年ぶりに観るsuedeライブの先行きを安心させるよう圧倒的な仕上がりだった。
続くOutsidersもリチャードのギターかっこええわ、最早それしか言えんわの仕上がりでもうスタートアップとしては完璧、もう今日のsuede大成功でーすと言わんばかりのサウンドが繰り広げられてた。ここまでは。

3曲目はNight ThoughtsなセットリストになるならNo Tomorrowに入るのだが、残念ながら
She。
ポスターからアルバムジャケじゃなくてメンバー写真だし、Night Thoughtsの触れ込みはなかったので予想通りの展開である。
Coming Upは後半パートが凄く大好きな3rdアルバムなのだけど、シングルカットされまくった前半の特にSheとFilmstarはお馴染みすぎて正直聴き飽きていた。ともあれフェスなんかでは安心安定定番のShe。それがなんだかおかしい。
音が足りない。あっ!ギターの音が鳴ってない!!
マジかーと苦笑いのギタリスト Richard Oakes。おい!ちゃんと仕事せえや?どうかしたんか?とチラ見するボーカル Brett Anderson。淡々とリズムを刻み、シンセを奏でるメンバーでお送りする今宵のSheはギターレスversion。
それでも成り立っている演奏が逆説的に曲、そしてバンドの完成度の高さを表していて、あらためてsuede凄いと思い直した。

さぁさぁ気を取り直して…行けません!まだアンプ直りません!すんません!とスタッフ。
仕方なくアコースティックギターに取り替え、続きましては最近だと割とセトリの後半で披露されるはずのまさかの序盤からShe's In Fashion。
久しぶりの大好きな生SIFで気分は上々だけども、ブレさん客を煽ってしきりに手拍子を促す。なんかこれじゃないShe's In Fashionが続いていくも、まだアンプは直らない。

じゃあ次は何が来るんだと思ったら今度はLiving Dead。しかも、ギターも鳴り止んでこれはDog Man Starを彷彿とさせるアカペラバージョン!!
嬉しい反面、今日はそいつの日じゃないぞと感じつつ曲は進み、さあクライマックス!ってところでウォーンとアンプのノイズが高らかに復旧の狼煙を上げ、これには一同失笑。
しかし、これにて一度は幻のアコースティックナイトになりかけた本日のセットリストは元の軌道に戻っていく。

再度気を取り直して繰り出される曲はTrash。
もうこれは燻ってた心を発散させるしかない!ここまで実はちゃんと着席して座ってたけど、ほんとはみんな踊りたいんやろ!シンギンしたいんやろ!行こう!!…って先に立ち上がった前のお姉さん、後ろのおっさんに「前見えへんねん!座って!(意訳)」と怒られてる。
思わず立ち上がった私にもおっさんから怒りの視線を投げかけられてる。
そして、周りは誰も立ってない。踊りたい、踊れない、一筋の汗もかかない人生初Trashだった。
もちろん、階下でウェーイってなってるフロアのみなさんはいつも通りのTrashを繰り広げているわけで、まるで3DホログラムのTrashをVRで見せられているようなそんな奇妙なひと時だった。

それからはいつものように、Animal NitrateとFilmstarが流れて、新譜からはI Can't Give Her What She Wantsが来たかと思えば次がBy The Seaやって座ってたのにずっこけそうになった。

It Starts and Ends with Youは再始動したsuedeには相応しいアンセムだし、Sabotageはライブだとリチャのギターが映えまくりで最高だってことを再確認しつつ、あとはいつものお約束So YoungからのMetal Micky。
そしてなんだか久しぶりに聞いた気がするCan't Get Enoughは立って聴けないこともあってより一層Can't Get Enoughだった。
流麗なお約束のsuede演歌 Everything Will Flowが披露されてから最後はみんなで歌って踊れやのBeautiful Ones!!
ここにきて、ようやっと立てた。おっさんは立ってなかったけど、ブレさんが立てといったし、おっさんは怒らない。
みんなシンギンするし、踊る。これぞ万国共通のtraditional suede style。
ようやくいつもの時間が流れ出したような気がした。

しかし、残念ながら本編は終了。
台湾のアンコールはなんて発音しるのかよく聞こえなかったけど、日本と同じように手拍子して、掛け声かけてたら数分たってメンバー再登場。
ここで、Picnic By The MotorwayからのChemistry Between UsからのSaturday Nightくるかー??それともNew Generationくるかー思いきや、Saturday Night。
あっさり一曲だけのSaturday Night。
でもほんとに大好きな曲だったから久しぶりに聴けて良かったと、90分弱のことが一挙に思い出されて少しウルッとした。

なんか奇妙なライブだったけど、メンバーを見届けたところで隣のキムが一言。
「Dissappointing setlist. ha ha ha ^ ^」

うん。そうだね。
それからキムとお姉さんに別れを告げて、足早にホテルに帰った。

全体を通して思ったことを以下、書き連ねてみる。

・ブレさんの喉が加齢による劣化が悲しい。By The Seaは歌詞読み上げモードに入ってたし、オーディエンスにシンギンさせる割合が年々増してる。

・ステージ傍のオーディエンスに対してのファンサービスが露骨。悪いとは言わないし、言えないけど彼らもスマホで写真を撮るだけ終始しててなんだか本末転倒な気がする。

・マイク回しと腰のクネクネのsexyさとキレは年々増してる。恐ろしいほどに。

なんだかんだで2年ぶりのsuedeは相変わらずの最高のライブバンドだったし、今回も圧倒的なパフォーマンスだった。
Can't Get EnoughだけでThe 1975も倒せると思う。正直なところ。

それだけに、トリじゃない、持ち時間は90分じゃなくて60分、おまけにRadioheadとタイムテーブル被っている、と何この三重苦のsummer sonicは本当に残念でしかたない。
だからこそ今日のこの不完全燃焼は短い60分のセットリストで、晴らしたいと思う。

でもって赤坂BlitzでNight Thoughtsをご覧になる方は素晴らしいこと間違いないので、しかと目に焼き付けて、私みたいな参加できないファンにやーいやーいと自慢して欲しい。

suede live @台北國際會議中心 の前置き

気がつけば5年ぶりの日記になったけれど、せっかくなので備忘録もかねて。

2016/08/16(Sun)
2年ぶり5度目のsuedeライブ。
台湾に向かう3日前から下痢はとまらんわ、2日前には38.3°Cの熱も出るわで今回はほんとに行くことが危ぶまれたライブだった。
余談だけど、今年はcharlatansとturnoverってバンドのライブも仕事やら体調不良で参加できなくて、3度目の悪い正直になるところだったので、とりあえず参加することはできて良かった。

病み上がりの体ゆえに、台湾特有の濃くて脂っこい、いかにも体に悪そうなアホみたいに美味しい料理を見逃しつつ、2度目の台湾ゆえに行きたい観光地もないという二重苦に苛まれた2日間。

その末にたどり着いたのが、市内でもアクセス抜群な台北のランドマーク、台北101すぐそばの台北國際會議中心。
キャパは3100人で最近でもTravisflumpool妖怪ウォッチなんかのライブやイベントが開かれたなんでもありな会議場。
フロアは、2000人規模の日本のフラットなライブハウスのそれとは全くの対極。Dog Man Starのライブが行われた大阪NHKホールを彷彿とさせる指定席制で、梅田のクラブクアトロみたいに階段状になっているのが延々とビルの3Fくらいの高さまで続く完全に高所恐怖症殺しなヴェニューだった。
私の席は前から9列目のセンターと、ステージを俯瞰するには絶好のポイント…のはずだった。

さて、18:30に開場して入ってみると左には物販コーナー。
大きいサイズのポスターは日本円で300円と破格だったものの、絶対に家に着くまでに見るも無残な姿になることは容易に想像できたので、Tシャツだけ3000円で購入。
フロントデザインが今回のアルバムジャケットで、バックがアジアツアーのスケジュールになっていた。
165cmくらいまでの細身の方にはSサイズでいいと思う。このTシャツをこれからも着るためには私はこれ以上太れぬ…

ともあれやることもないので早速席へと移動。
隣には30代半ばくらいの男の人と、20代後半くらいの女の人。2人とも手持ち無沙汰そうにスマホをいじる単身参加者だったので、せっかくなので話をしてみた。
男性は97年発のSci-Fi Lullabiesからというファン歴19年の韓国からお越しの方。今日は5度目のsuedeライブで、今回のアジアツアーに至っては韓国〜台湾〜香港(仕事の都合でいけなくなったもののサマソニ大阪の券も購入済み)というダイハードファンだった。
方や女性はファン歴9年と、ガチ男のキムさんに比べたらソフトな地元ファンの方だった。

3人でどのアルバムが一番いいか、今夜のセットリストは何が演奏されたら嬉しいか、なんでサマソニsuedeがトリじゃないのか、日本は馬鹿なのか、そんなことを語らいながら楽しく開演のそのときを待ちわびていた。

まさかあんなことになろうとは思いもせず。

We Are Scientists live @ O2 ABC Glasgow 12 th, March, 2014

イギリス2度目のライブはアメリカNY出身のポストパンクバンドWe Are Scientists

渡英前日の3/4に4枚目のアルバム"TV en Francais"がリリースされたものの、発送が遅れてしまって日本滞在中に手に入れることができず、後で弟に実家からクラウドにアップしてもらった音源を開演ギリギリまで予習してからの参戦でした。
今回のサポートアクトは、the Heartbreaksとsuperfoodという2組。
前回同様、開場直前になってから会場に到着しても(それでも会場入口に並ぶ列の前から5番目くらい)、余裕の最前列ポジション確保です。

20分ほどたち、観客が全然集まっていない中で、まずはHeartbreaksの演奏がスタートしました。
Remorseful〜Delay, Delayと前半から1stアルバムのアップテンポの曲で飛ばしまくり、これは本国だけに合唱が期待できるのかと思いきや、ほとんど盛り上がらないオーディエンス。
横で聴いていた地元の大学生に尋ねても「うーん、このバンドは聴いたことないね」の一言。
日本でも局地的にブームになったネオアコ直系の瑞々しいギターサウンドが特徴なだけに日本だけでの人気と知名度なのかなと少し落胆してしまいました…
しかも、またしても陣取った場所が悪かったのかギターの音が全然聞こえません(T_T)

曲目の半分は、4月に日本で先行発売する2ndの曲でしたが、Hey, hey, loverと知らないお客さんからも口ずさむ声が聞こえ、次第にそれが大きくなっていったのはやっぱり音楽の国英国のなせる技なのでしょうか。
あんまり好意的な感想が書けていない気がしますが、それでも2ndの楽曲もみんなで盛り上がれるようなアンセムが多目でフジでの来日も楽しみだな!と期待が膨らんでいってこれから!というところで幕引きです。

つづくSuperfoodはBlurSupergrassをローファイにさせたようなまさにBritpopサウンドが持ち味のバンドです。

人気も上昇している真っ只中のようでHeartbreaksとは対照的に(悲しいことに)お客さんもどんどん前に集まっていきます。
「音がヘロヘロな新人バンドの演奏はひどい 」っていう持論があるのですが、Superhoodはそんなバンドたちとは一線を画していて、(もちろん決して巧いとはいえないものの)バランスのとれた安定感のある演奏でフロアを和ませ、まるで陽光の差し込むほのぼのとした天候のなかでピクニックでも楽しんでいるかのようなアットホームな空間を満たしてくれました。
ぜひ日本でも演奏してほしいですね(フジは雨降るし、暑すぎる気がしますがサマソニにぜひ)。



さあお待ちかねのWe Are Scientistsです。
デビューアルバムの発表から8年が経過していることもあり、ファン層は8日に見たTemplesより高めで、ちょっと体型が崩れてきた20代後半の方が目立ちました(^^;
少し余裕のあったフロアも前の方はぎゅうぎゅうに満たされています。

新譜のReturn The Favorから幕を開けて徐々に熱を上げていき、畳み掛けるようにAfter Hours 〜 I Don't Bite そして代表曲Nobody Move, Nobody Get Hurt と日本では絶対にお目にかかれないような大合唱が続きます。
不思議なのは、これだけ大盛り上がりでみんな飛び跳ねてるのにモッシュダイブが起きないところ。年齢が上がるとやはりみんな落ち着いていくんでしょうか。

さて、とってもキャッチーでエッジのきいた楽曲というのが彼らの音楽的な特徴だとすると、ユーモアに溢れていてジョークの飛び交うところがキャラクター面での特徴でしょうか。
普段のコミカルなPVをはじめ、今回のツアーのサポートアクト紹介でもyoutubeで痛快な映像を披露してくれましたが、このライブでも随所(持ち時間の3分の1はそれだったといっても過言じゃないくらい)に2人のジョークが繰り広げられていました(笑)
印象的だったのは、twitterでも写真があげられていましたが、盛り上がっていたファンの一人をステージに上げてベースを担がせオーディエンスと合わせて行った記念撮影ですね(左端に横の人が写ってましたが僕は回避!)。
MC中は終始会場には笑いの渦が巻き起こっているのに、英語力が足りないばかりに何と言われているのか全然わからないのが少し残念でした...

演奏の話に戻ると、今回はギター、ベース、ドラムスだけという非常にコンパクトなバンド編成であり、「とにかく盛り上がる!」ことに重きが置かれていたように感じたので、シンセの映えるJack & Gingerや新譜からのメランコリーなOverreactingといった個人的には好きなナンバーは残念ながら披露されませんでした。
しかしながら、SprinklesやWhat You Do Bestといった新曲がライブの展開に緩急をつけるいいアクセントになってメリハリのきいた圧倒的なステージングでしたね!

それにしてもIt's A HitやThis Scene Is Dead, The Great Escapeの1stの楽曲群は本当に盛り上がる!!
Oasisの例が代表的なように英国でのライブではアンセムに大合唱がつきものですが、みんな聴くのをそっちのけで歌うし踊るしで、まるでパーティのようでした。
逆に新曲のMake It EasyとかSlow Downももう少し盛り上がっていいナンバーだと思うのですが、発売して間もないからか思ったほど会場が沸かず、彼らの定番のレパートリーに加わっていくにはもう少し時間がかかりそうな気がします。

いつか日本でも彼らの楽曲に合わせてみんなで大合唱して飛び跳ねられるような日が来ることを願うばかりで、本当にバンドとオーディエンスの一体感を体験できるパーティという言葉がぴったりな一夜でした。


Setlist
1. Returns The Favor
2. After Hours
3. I Don't Bite
4. Nobody Move, Nobody Get Hurt
5. Dumb Luck
6. Rules Don't Stop
7. Sprinkles
8. Textbook
9. Chick Lit
10. What You Do Best
11. Nice Guys
12. Make It Easy
13. Dinosaurs
14. It's A Hit
Encore
15. Can't Lose
16. Slow Down
17. The Great Escape

Temples live @ O2 Shepherd's Bush Empire 08 th, March, 2014

イギリスでの初めてのライブ観戦でした。

・ライブハウスの雰囲気
・サポートアクトの様子
・Templesの感想
と順に書いているうちに長くなってしまったので適宜読み飛ばしてご覧いただけると幸いです。


さて、2014年3月8日。
ロンドンのO2 Shepherd's Bush Empireという2000人くらいのハコにて、Templesのギグを観てきました。
今回の会場はSun StructuresのUKツアー最終日ということもあり、彼らがメインアクトとしてこれまで演奏してきたハコの中では最大規模のものだそうです。

まずは、入場から。
19:00開場少し前の18:45に会場に到着しましたが、建物の前にそれほど長い列は見られま…せん?それもそのはず。
イギリスでは日本ではワンマンでもライブできるような人気のバンドでも、メインアクトの前に何組かサポートアクトが演奏するのが一般的。
当日には、会場HPやバンドのSNSサイトを通じて大体の演奏開始時刻がアナウンスされているため、最前列を陣取りたい熱狂的ファンやサポートアクトに興味のある熱心な音楽ファンくらいしか開場時刻には並ばないようです。
みんな我先に前の方に陣取ろうとする日本とは大違いで、まずここでカルチャーショックを感じました(笑)

入場に際し、チケットの種類によってはライブハウスに備え付けのBox Officeというところで券を交換する必要があるそうですが、そういう手間のいらないticketwebというサイトを通じてE-Ticketは発券済み!
19:00の開場とともに入場です。

Templesは中期Beatlesといった60年代のサイケデリックミュージックが持ち味なだけあり、客層も10代のキッズからお年を召された方まで老若男女幅広い年齢層の方がいらっしゃいました。
横で一緒に観ていた親子はなんとはるばるアメリカのフロリダ州から来られたそうです!

他のお客さんとの雑談はほどほどに、開場からそれほどたたずして早速、一組目の演奏が開始です。
今回のTemplesのツアーのサポートアクトを務めたのは、Dark BellsとChildhoodというある意味Templesよりも浮遊感のあるサイケデリアを奏でる2組のバンドです。

Dark Bellsは事前にWildflowerというトリップ感のある楽曲を気に入ってたので楽しみにしていましたが、ギターと離れたリズム隊の近くの場所で聴いていたため、ベースの音圧とバンドとしての音のバランスの悪さに横のマダムと項垂れていました…
やはり最前列だと音響面の悪さは我慢しないといけないところですね。

早々にステージは幕引きし、続くchildhoodはpalma violetsのサポートも務めたり、NMEが劇押ししてることもありキッズたちの歓声も大きめ。
そういう前情報はチェックしていたものの肝心の音源は聴いていなかったので特には期待していませんでした。
実際、演奏の開始早々に音のボリュームバランスがおかしいのかギターの人がスタッフにもっと音量あげろ!と合図を送ったり、templesの登場を待ちきれない客からステージにドリンクを投げ込まれたり、心ない野次を飛ばされたりと少し心許ないステージング。
ただ、それを吹き飛ばす楽曲の良さが演奏から感じられ、今後にとても期待できる印象を感じました。


さてさて、長らく待ちわびたところでいよいよ我らがTemplesの登場です!!
後ろの方で観ていた観客も沸きだってどんどん前に押し寄せてきます。
スタートは、イントロが印象的で僕の一番大好きなColours To Life。
これはもうノるしかないと思ったはずが、サポートアクトの演奏のときに抱いた違和感と同じでどうもギターのボリュームが小さい気がしていまいちノり切れません…

拭えない違和感とは対照的に沸き立つオーディエンス。
気がつくと後ろが異様に高いテンションになっており、その中のウルヴァリンみたいな毛深いチンピラに腕を掴まれて「こうやって腕振るんだよ」と言わんばかりに曲に合わせて僕の腕をスウィングさせてきました(笑)

Keep In The Darkではさすが本国だけあってみんなで合唱が巻き起こりましたが、ウルヴァリンもそれに合わせてヒートアップし、今度は僕を担ぎ上げにかかります。
「おいおい、Templesはダイブするようなバンドじゃねぇだろ。てか曲に集中させろ」と思ってると、知らぬ間にキレてた横のマダムがセキュリティーを召喚。
デッカい黒人の兄ちゃんが僕のすぐ横のウルヴァリンの首根っこをつかみかかり、耳元で「調子のんなやつまみ出すぞワレ」と言わんばかりにキレてます。
マダムも吠えまくっており、正直ライブどころじゃなくて怖いです(^^;
(一番前で柵もあるし背も低いんだから自分の身はちゃんと守らないとダメよ(意訳)とお叱りをいただきました…)

ようやく周りの騒ぎも一段落し、演奏に集中できるようになった頃には、ギターの音量も上がってきてバンドサウンドのバランスも安定してきていました。
Sand Danceのクライマックスとなるアウトロではライブ仕様にアレンジが加わり、コンパクトにまとまっていたアルバム音源よりもエレクトリックでサイケでメチャクチャ格好良い!!
続くShelter Songでは、観客もその日最大のテンションでOne night !Late night!と間の手を入れ、締めのアンコールのMesmerise(やっと!) では、またひとつこの国にアンセムがでこたことを祝福するように大合唱とJames の圧倒的なギタープレイが印象的でとても最高でした\(^o^)/


正直なところ、恐怖感の方が強かったイギリス初ライブでしたが、最後の3曲を聴けたこと、英国の音楽シーンの"今"を体感することができて本当に良かったです。

5月の来日公演は残念ながら予定が合わず参加できませんが、観られる方はお見逃しなく!!

英国旅行記 〜準備篇〜

いつか大好きなUK Rockバンドのギグを本国で観て、現地のファンと一緒に楽しみたいなと初めて思ったのが高校2年の頃でした。

しかし、渡英する気持ちの踏ん切りがつかないまま8年が経過し、学生最後の春休みを迎えようとしていました。
まとまった休みが確実に取れるのも恐らくこれが最後…
重たい腰に鞭を打ち、ようやく予約したのは英国行きの航空券ではなく、ロンドンで行われる予定の新人バンドTemplesのライブチケットでした。

初めての海外一人旅。
一人旅の仕方を指南するHPの多くは早いうちから徹底的に準備することを薦めていましたが、何せ準備をしていた頃はちょうど修士論文執筆の最中。
さらに渡英直前には、既に友人と計画していた東南アジアも控えており、十分な準備時間の確保は不可能でした(苦笑)

なので、とりあえず

・航空券の確保
・行きたいギグのチケット確保
・ギグ当日の宿予約
海外旅行保険の手続き
地球の歩き方に書いてある荷物リストにのっとって支度

の最低限を前日までに済ませ、まだ夜も明けない午前5時前、関西国際空港に向けて自宅をあとにしたのです。


3/19から1日ごとに旅の様子をまとめていこうと思います。